中国人が日本を好きなのは「アニメ」のおかげだと言われる。では、日本人が中国を好きなら、何が理由だろうか。中国の質問サイト「知乎」には「中国人が日本を好きなのはアニメかもしれない。日本人が中国を好きなのは何だろう」という質問があり、閲覧は約49万回、回答は140件。日本人の書き手を含む3つの回答を、日本側の世論調査と見比べた。
元の質問:一个中国人喜欢日本可能是因为动漫,那么一个日本人喜欢中国可能是因为什么?(知乎・2019年11月・質問ページ)。3つの回答はいずれも2019年の投稿
- 回答が挙げる理由は「中国の文化・食べもの・親切にしてくれた中国人」。パンダだけではない、という見方が中心。日本人の書き手は、日本人がパンダを好きでも、パンダで国を好きにはならない、と書く
- 「中国を好きな日本人は多くない」という点で回答は一致していて、日本側の調査でも多数派ではない。内閣府の2025年9月の調査で、中国に「親しみを感じる」は15.9%、「感じない」は83.5%
- 回答は2019年のもの。6年後の今は、数字も旅行の動きも変わっている。賛同が最も多い回答(2,166・2022年)は、日本人の中国好きを敵意の裏返しと断じる内容で、日本人への敵意をあおる表現を含むため、ここでは取り上げない
回答1「パンダで国は好きにならない。好きになるのは人と文化」
優美Yumi(中国人の夫を持つ日本人)/2019年12月/賛同 1,275/回答を読む
因为一只熊猫不能喜欢上一个国家。
中国人の夫を持つ日本人の書き手は、「日本人はパンダが好きだから中国が好き」という見方に、パンダ一頭で国を好きにはならない、と答える。日本人の中国理解は、ほとんどが日本のメディア経由で、政治以外の報道はパンダ、お笑い、中華料理に偏っている。日本人の同僚に「中国の何が好きか」と聞くと、中国に関心がなかったその人は「パンダ」と答えた、という。
我还是想喜欢一个国家是因为那个国家的人,文化。
そこで、中国に行ったことのある日本人の知人に聞いた。第2位は「中国の文化」で、囲碁、漢方薬、古典文学、中華料理、太極拳。第1位は「中国人」で、理由は「とても親切」。回答者は、中国に来た最初の年の室友だった60代の日本人女性が、「子どものころから好きだった古典文学を学ぶ」ために、夫を日本に置いて一人で北京大学を目指した話も紹介する。
一个人在国外特别担心没有人能靠的时候,有人这么热情温柔的人的话,谁都会喜欢他甚至喜欢他的国家吧。
結びは自分の経験。7年前に中国に来たとき、バスを乗り間違えて「どこの国の人か」と聞かれ、日中関係が悪かった時期なので韓国人だと嘘をついた。話すうちに日本人だと打ち明けても、運転手は変わらず親切で、30分待って、そのバスで学校まで送ってくれた、という。最後に、日本人にも自分の目で中国を見に来てほしい、とまとめる。
回答2「好きな日本人は多くない。理由は料理・直爽な人・縁の深さ・パンダ」
东京IT神经男/2019年12月/賛同 255/回答を読む
讲真,喜欢中国的日本人并不是很多。
東京でIT関係の仕事をする書き手は、まず、中国を好きな日本人はあまり多くない、以前は「十数%」くらいと書いた記憶がある、と述べる。そのうえで、理由を5つ挙げる。①中国料理(日本では四川料理と広東料理が有名で、麻婆豆腐は誰でも知っている)②中国人は付き合いやすい③日中の経済・文化のつながりが深い④中国の地域が多様⑤パンダ。
中国人有一说一直爽的应该很可爱
②では、日本人の一部は中国人を「お金があって爆買いし、マナーが追いついていない成金」のように見て、大声や割り込みの話も尽きないと認める。それでも、「当面は笑顔、陰では別」の日本人の性格と比べれば、思ったことを言う中国人はむしろかわいい、という。最後に、2015年の日本の大学生への調査で、中国で行ってみたい都市は上海・北京が圧倒的で、3位が四川(パンダ)だったと紹介する。
回答3「現代の中国は超新星。IT・華為・電子決済に学ぶことがある」
日本狸猫田中裕之/2019年11月/賛同 187/回答を読む
我认为对日本人来说现代中国是一颗超新星一般
自称「精神中国人」の日本人。子どものころから『三国志演義』が好きで、高校〜大学で『韓非子』『孫子』にはまり、2015年に中国へ行って「社会が自由で、中国人はとても親切」と感じた。帰国後も中国のSNSを使っている。回答者は、現代中国は日本人にとって「超新星のような存在」で、IT、華為(ファーウェイ)、電子決済の普及、富裕な旅行者の「爆買い」から、日本が学ぶことがあると書く。ただし、日本人の中ではかなり少数派の見方だ。
日本側の資料で確かめる
確認できたこと
- 中国に「親しみを感じる」日本人は少数派。内閣府の外交に関する世論調査(2025年9月)で、中国に「親しみを感じる」は15.9%(「感じる」2.5%+「どちらかというと感じる」13.4%)、「感じない」は83.5%(「どちらかというと感じない」32.7%+「感じない」50.8%)。前回の調査と大きな変化はない。回答1・2の「好きな日本人は多くない」は方向として合っている。(出典:内閣府「外交に関する世論調査」令和7年9月調査)
- 回答2の「十数%」は、実際の2019年より低かった。同じ内閣府の調査で、2019年10月は「親しみを感じる」22.7%、「感じない」74.9%。回答の「十数%」より10ポイント近く高い。ただし2020年に調査方法が変わった(面接→郵送)ため、2019年と2025年の差はそのまま比べられない。(出典:内閣府「外交に関する世論調査」令和元年10月調査)
- 日本に来る中国人は、2025年に大きく戻った。訪日中国人は2025年に約910万人(前年比30.3%増)。ただし11月の高市首相の台湾有事をめぐる発言のあと、中国政府が自国民に訪日の自粛を呼びかけ、12月は前年同月比45%減。(出典:nippon.com「2025年の訪日外客数」)
言いすぎ・未確認のこと
- 回答1が引用する「言論NPOの工藤氏の文章」(来日中国人が5年前の6倍、訪中日本人の数は変わらない、など)は、元の資料にあたれず確かめられなかった。
- 回答2の「2015年の日本の大学生の調査」の元の調査と、日本人が中国人を「成金」のように見ているという見方は、確かめられなかった(書き手の印象)。
- 回答1のバスの話や回答3の経験談は、個人の体験で確かめようがない。「日本人は中国人を親切だと思っている」の一般化はできない。
- 3つの回答はいずれも2019年。2025年の日中関係の悪化後(内閣府調査で好意が一段と低い)に、日本人の中国への見方がどう変わったかは調べていない。
まとめ表:日本人の中国への親しみと人の行き来
| 中国に親しみを感じる(2019年10月・面接) | 22.7%(感じない 74.9%) |
| 中国に親しみを感じる(2025年9月・郵送) | 15.9%(感じない 83.5%) |
| 訪日中国人(2025年) | 約910万人(前年比30.3%増・12月は前年同月比45%減) |
| 日本人の出国者数(2025年) | 1,473万人(2019年比26.6%減) |
出典:内閣府・JNTO(nippon.com、Travel Voice)。調査方法が違うため、2019年と2025年の親しみの数字は単純に比べられない
世論調査の数字の読み方を知りたい人に。
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