中国人「日本の高い米価は、おそらく数年は続く。連続して天候に恵まれれば別だが」

中国の質問サイト「知乎」に、2025年9月23日、日本のコメの値上がりを受けた質問が立った。「日本で、コメが再び値上がりしている。5キロ入り1袋の平均が、人民元で200元(約4,720円)を超えた。何が原因でコメの値段が上がり続けるのか」。閲覧は47万回、回答は155件(10月10日時点)。賛同のいちばん多い回答(341)は、「この高い米価は、おそらく数年は続く」と予想した。それから1年。いまの数字で、答え合わせをした。

元投稿

質問:日本再现大米涨价潮,1 袋 5 公斤装大米均价超 200 元(約4,720円),哪些因素导致了日本大米价格的连续上涨?(日本でコメの値上がりが再び起き、5キロ入り1袋の平均が200元(約4,720円)を超えた。どんな要因で、コメの価格は連続して上がっているのか)
補足:「9月8日から14日、日本の5キロ入りコメの平均価格は4,275円に達し、3週連続で上がって、過去最高に迫った。日本のメディアは、新米の発売と、政府の備蓄米の供給の減少が、新たな値上がりを招いたとしている。今年の夏から、極端な……」(要旨・本文は途中で切れている)
知乎/2025年9月23日/フォロワー292・閲覧475,247回・回答155件
→ https://www.zhihu.com/question/1953772201267409164

回答1「米価は、日本の通貨安と物価高の表れの一つだ」

回答者:江睿谨(プロフィールの表示「知勢榜影響力榜 経済と管理」)
投稿日:2025年9月23日
賛同265・コメント57
→ 回答ページ

说起日本因为大米这个主粮而闹风波,也不是一两次了,日本习惯上称之为“米骚动”。

日本が、コメという主食で騒ぎになるのは、1回や2回ではない。日本は習慣的に、これを「米騒動」と呼ぶ。

回答者は、1918年の「大正の米騒動」が、1,000万人以上を巻き込み、ほとんどの地域で暴動になって、最後は軍隊を出して鎮めた、と書く。続けて、日本の公式の説明(新米が高いこと、備蓄米の放出が減ったこと)は「信じない」とし、日本は2022年から物価が上がり、円が下がって、輸入の費用が上がったことの表れの一つが、米価だと論じる。

最后发达国家出现米荒,这本身就是很荒诞的事情。

結局、先進国でコメが足りなくなる。それ自体が、とても荒唐無稽なことだ。

回答2「この高米価は、おそらく数年続く」

回答者:王克丹(プロフィールの表示「新知答主」)
投稿日:2025年9月23日
賛同341・コメント98
→ 回答ページ

農協(JA)は、すべての人にではなく、農民に責任を負えばよい。コメの輸入には枠が厳しく、不足が起きれば、値段は不足の割合以上に上がる、という整理から入る。そして、結論を、こう書く。

这种高米价大概率要延续几年,除非天公作美,连续2~3年的风调雨顺,没有大的极端天气冲击,但这个概率现在看来也不高啊。

この高い米価は、おそらく数年続く。天の恵みで、2〜3年続けて天候に恵まれ、大きな極端気象に襲われなければ別だが、その確率は、いまのところ高くないように見える。

回答3「次の言い訳は、『日本のコメは10倍よいから、10倍の値段で当然』」

回答者:老杨叔聊志愿填报(プロフィールの表示「新知答主」)
投稿日:2025年9月24日
賛同279・コメント67
→ 回答ページ

一段落だけの回答で、値段の話ではなく、「日本を擁護する言い方」の流行を皮肉る。「日本の農民が豊かになったのだ」という擁護が、ネットで笑われると、次は、「日本のコメの品質は中国の10倍よいから、10倍の値段は当然だ。中国では特別供給の品で、お金があっても買えない」に変わった、と書く。擁護する側を指す、軽蔑気味の呼び方が使われているので、原文は引用しない。賛同は279。

裏取り(いまの数字で答え合わせ)

確認できたこと

「米価は上がり続けた」は、その後の数か月は当たった。農林水産省の統計で、全国約千店のスーパーの5キロ平均価格は、2025年12月29日〜2026年1月4日の週に4,416円と、過去最高を更新した(共同通信(OANDA))。質問の補足にある2025年9月の4,275円から、さらに上がっている。

回答1の「米騒動は、1918年にもあった」と「日本の食料自給率」は合う。1918年の米騒動は、約500か所に広がり、10万人を超える軍隊・警察が動員された(Wikipedia(英語))。カロリーベースの食料自給率は、令和6年度が38%で前年度並み、つまり令和5年度も38%だった(農林水産省)。回答1が書く「2023年度38%」とも合う。

「コメの輸入は枠が厳しい」(回答2)は、半分合う。政府が輸入するミニマム・アクセス米は、年度に77万玄米トンで無関税。民間が輸入すると、1キロ341円の関税がかかる(nippon.com)。

違った・古かったこと

「この高米価は、数年続く」は、1年たたずに外れた。農林水産省が10月2日に発表した、9月21〜27日の全国スーパーの5キロ平均は2,926円で、前週より8円安く、7週連続の値下がり(NHK)。9月7〜13日の週は2,971円で、2024年9月以来、約2年ぶりに2,000円台になった。熊本日日新聞は、令和のコメ騒動以降に価格が高騰したあと、増産による供給の拡大などで、今年に入って値下がりが続いた、と伝えた(熊本日日新聞(共同))。さらに10月9日、産経ニュースは、店頭平均価格が5キロ2,860円で、8週連続の値下がり、3,000円割れは4週続いている、と伝えた(産経ニュース(X))。4,416円(千店・1月)から2,926円への下落は、約34%だ(筆者の計算。系列の違いは下の「確かめられなかったこと」を参照)。

「コメの輸入は枠が厳しい」は、2025年は様変わりした。2025年の民間の輸入量は9万6,834トンで、前年(1,015トン)の95倍に増えた。高い関税を払っても、輸入するほうが割安になったからだ(nippon.com)。回答2が「輸入は厳しく制限されている」と書いたのは、MA枠の数字としては合うが、民間の輸入の増加は、書かれていない。

回答1の「1918年の米騒動は、1,000万人以上」は、推定の最上限だ。英語版Wikipediaによると、参加者の推定は、下限70万人、一般的には100万〜200万人、上限は1,000万人と幅がある(Wikipedia(英語))。

見落とされがちなこと

3つの回答は、どれも、価格を決める「在庫」と「作付け」を語っていない。回答1は通貨とインフレ、回答2は農協と輸入、回答3は擁護論の流行を語った。だが、2026年に価格を押し下げたのは、熊本日日新聞の社説によると、前年の不足から一転して民間在庫が過剰な水準に積み上がった「コメ余り」だった。2026年産の新米価格も、前年より大幅に下がる見通しで、JAが農家に払う「概算金」の額も激減すると伝えている(熊本日日新聞(社説))。

確かめられなかったこと

4,416円から2,926円への「34%下落」は、系列が違う可能性がある。農林水産省は、スーパーの平均価格を毎週、3種類公表しており、4,416円は「千店」分(中小スーパーが中心で、価格が高めに出る)と報じられている。2,926円の系列は、NHKの記事では特定できなかった。回答1の「コメの自給率は100%」と「2030年度に45%」、「核心CPIが8か月連続で3%超」、「日本が2022年に円安を選んだ」は確認していない。回答2の「農協は農民だけに責任を負う」は、立場の評価で、検証できる種類の話ではない。2026年産米の作況指数も、公式の数字は見つからなかった。

日本側のデータ

この記事の答え合わせに使った事実

5キロ平均価格(質問の補足・2025年9月8〜14日)4,275円
5キロ平均価格(千店・2025/12/29〜2026/1/4)4,416円(過去最高)
5キロ平均価格(2026年9月21〜27日)2,926円(前週比8円安・7週連続の値下がり)
5キロ平均価格(産経・10月9日報道)2,860円(8週連続の値下がり)
2,000円台になったのは2026年9月7〜13日の週(2,971円)。2024年9月以来
コメの輸入(2025年・民間)9万6,834トン(前年の95倍)。関税は1キロ341円、MA枠は年77万トン
食料自給率(カロリーベース・令和6年度)38%(前年度並み)

出典:共同通信(OANDA)・NHK・熊本日日新聞・nippon.com・nippon.com・農林水産省

日本視点

この記事は、日本のニュースが、中国の人にどう読まれているかを見るものだ。中国の人は、日本のコメの値上がりを、農協・関税・通貨安という「仕組み」の問題として読み、だから長く続く、と予想した。その読みは、仕組みの議論としては筋が通っている。

ただ、日本の人にとっては、米価は、「仕組み」だけでなく、在庫と作付けで、半年のうちに大きく動いた。2025年の民間輸入の急増と、増産、コメ余りが、価格を下げた。「何年も続く」という予想は、仕組みを重く見すぎて、供給の反応の速さを軽く見た。日本の人にとっては、下がった価格が、また上がらない保証はなく、コメ余りが農家の収入を直撃する、という別の問題が、これから前に出てくる。

どこが当たっていて、どこがずれているか

  • 当たっている:2025年末に過去最高を更新したこと、1918年に米騒動があったこと、食料自給率が38%であること、MA枠が年77万トンであること。
  • 外れた・注意が必要:「高米価は数年続く」(1年たたず、約2年ぶりの2,000円台)、「輸入は厳しく制限」(2025年の民間輸入は95倍)、1918年の「1,000万人以上」(推定の最上限。一般的な推定は100万〜200万人)。
  • 確かめられなかった:コメの自給率100%、核心CPIの数字、円安を「選んだ」という主張、4,416円と2,926円の系列の違い。
関連書籍

コメの高騰の背景を、減反政策と農協(JA)の関係から論じた新書です。農政の議論は立場によって評価が割れるため、「論じる立場の一つ」として読みたい人に向いています。

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まとめ

  • 知乎で47万回読まれた質問「日本でコメが再び値上がり。5キロ入りの平均が200元(約4,720円)超。原因は何か」。賛同のいちばん多い回答は「この高米価は、おそらく数年続く。2〜3年続けて天候に恵まれれば別だが」と予想した。ほかに、通貨安と物価高の表れとする回答と、擁護論の流行を皮肉る回答
  • いまの数字では、5キロ平均は2025年末に4,416円(千店)と過去最高を更新したあと、2026年9月21〜27日は2,926円まで下がり、7週連続の値下がり。約2年ぶりの2,000円台になった。民間在庫が過剰になり、2025年は民間輸入も95倍に増えた
  • 「数年続く」は外れた。1918年の「1,000万人以上」は推定の最上限。コメの自給率100%や核心CPIの数字は確かめなかった。中国の人は、仕組みの議論で読んだが、価格を動かしたのは、在庫と作付けだった

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