中国の質問サイト「知乎」に、2026年10月12日、日本の倒産をめぐる質問が立った。「日本で倒産ラッシュ。2026年度上半期(4〜9月)、負債1,000万円以上の企業の倒産が5,373件で、13年ぶりの高水準。背景には何があるのか」。閲覧は24万7,668回、回答は116件(10月13日時点)。いちばん賛同の多い回答(302)は、「2019〜22年に倒産が減ったのは、疫病のあいだ、ほぼゼロ金利の貸し出しで延命したからだ。債務は消えず、遅れて出てきた」と見た。質問が立った日の翌日、いまの数字で、答え合わせをした。
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質問:日本爆发倒闭潮,2026财年上半年负债千万日元以上企业破产5373起,创13年新高,背后有哪些原因?(日本で倒産ラッシュ。2026年度上半期、負債1,000万円以上の企業の倒産が5,373件で、13年ぶりの新高。背景には何があるのか)
補足:「日本の連続利上げの悪い結果が、ついに表れ始めた。円の命は吊るされたが、たくさんの企業がそのために死んだ。東京商工リサーチが10月8日に発表した、2026年度上半期、つまり4〜9月、日本の負債1……」(途中で切れている)
知乎/2026年10月12日/フォロワー355・閲覧247,668回・回答116件
→ https://www.zhihu.com/question/2092964786921107847
回答1「倒産が減った疫病の時期の延命が、遅れて出てきた。今回の山は、歴史で見ると高くない」
回答者:王克丹(プロフィールの表示「新知答主」)
投稿日:2026年10月12日
賛同302・コメント42
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19~22年日本企业破产的数量显著下行,这是不是和我们印象中的情况完全相反
2019〜22年に、日本の企業の倒産が目に見えて減った。これは、私たちの印象と、まったく逆ではないか。
回答者は、1985年のプラザ合意、1990年代のバブル崩壊、竹中氏の不良債権処理、世界金融危機と、倒産の山を順に挙げる。そして、疫病の時期に倒産が減ったのは、政府が、ほぼゼロ金利の貸し出しを大量に出したからだと書く。
疫情之后活不下去的依旧活不下去,也就带来了日本破产的反弹反而在疫情之后,也就是22年之后,这时候当年续命的贷款逐渐到期,企业出现了爆发式的破产潮
疫病のあとも、生きていけない企業は生きていけない。だから、日本の倒産の反動は、疫病のあと、つまり2022年以降に出た。そのとき、延命に使った貸し出しが次々に期限を迎え、企業の倒産が一気に出た。
ほかの要因として、利上げ、高齢化と人口の減少を挙げ、「日本の不思議な現象は、消費の需要がないのではなく、人が採れないことだ」と書く。結びは、こうだ。
总结起来,如果看历史数据,这次的峰值其实并不高,尤其是参考黄线的走势
まとめると、歴史のデータで見れば、今回の山は、実はそれほど高くない。とくに、黄色の線の動きを見るとそうだ。
回答2「1日に平均29社が閉まった。利上げ、円安、そして中国の両用品目の禁止」
回答者:点评校尉(プロフィールの表示「公式アカウント:点評校尉。深みのある文章が好き」)
投稿日:2026年10月12日
賛同162・コメント29
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光2026财年4—9月,日本平均每天有29家企业关门。
2026年度の4〜9月だけで、日本では平均して1日に29社が閉まった。
原因の1つ目は利上げ。「日本は利率を1.25%まで引き上げ、1995年以来の最高になった。ゼロ金利と疫病中の『ゼロゼロ融資』で十数年を生きのびたゾンビ企業(約25万社、全体の17%)が、今回、完全に死んだ」と書く。2つ目は円安で、ドル建ての輸出額が小さくなり、輸入のコストは上がった、と続ける。3つ目は、人がいないこと。65歳以上が3割近く、経営者が老いて引き継ぐ人がいない。
そのうえで、「中国が日本への両用品目を管理して半年、なぜ大混乱にならないのか」という問いに、答えが長く続く。日本は備蓄があるが、状況は厳しい、と書く。
算下来,日本制造业单一季度亏损1.23万亿日元,拖累GDP增速0.8个百分点。
計算すると、日本の製造業は、1四半期の赤字が1.23兆円で、GDPの伸びを0.8ポイント押し下げた。
さらに、「トヨタ・ホンダの在庫は3〜6か月分しかなく、新エネルギー車の生産目標を下げた」「信越化学とJSRは、3nmのフォトレジストの新規の受注を止めた」「上下流の約5万の中小企業が、倒産を始めた」と並べ、結びで日本が米国に助けを求めた話を皮肉る。賛同は162。
回答3「倒産ラッシュと、働く人の『企業選び』は、同じ構造の裏表だ」
回答者:允执厥中(プロフィールの表示「企業人事管理師資格の保持者」)
投稿日:2026年10月12日
賛同100・コメント20
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今天的热榜有点魔幻,一边是日本的企业倒闭潮,一边是日本打工人身价大涨挑企业。但本质上是同一个结构性问题的两面。
きょうのランキングは少し魔幻だ。一方で日本の企業の倒産ラッシュ、他方で日本の働く人の身価が上がり、企業を選ぶ。しかし、本質は、同じ構造の問題の二つの面だ。
回答は、「5,373件、前年同期比3.8%増、5年連続の増加、2013年以来の新高。負債総額は8,561.69億円で、23.5%増。負債1億円未満が77%、従業員10人未満が90.6%。1〜8月に、創業100年以上の企業112社が法的整理に入った」と並べる。そして、「倒れているのは大企業ではなく、毛細血管だ」と言う。要因は、利上げ(約1.25%)、物価高(436件、17.8%増)、人手不足(240件)と書き、物価高の項目に、さらに数字を足す。
日本实际工资长期下降,2026年5月同比降2.8%,恩格尔系数升至1981年以来最高。
日本の実質賃金は長く下がっていて、2026年5月は前年同月比2.8%減。エンゲル係数は、1981年以来の最高に上がった。
結びは、「日本経済は、痛みを伴うが、ある意味で避けられない新陳代謝を経験している。コアの競争力がなく、安い労働力と安い資金に頼る中小企業が、系統的に淘汰されている」。賛同100。
裏取り(いまの数字で答え合わせ)
確認できたこと
5,373件は、東京商工リサーチの発表どおりだ。2026年度上半期(4〜9月)の全国の倒産(負債1,000万円以上)は5,373件(前年同期比3.8%増)、負債総額は8,561億6,900万円(同23.5%増)。上半期としては5年連続の増加で、2013年(5,505件)に次ぐ高さだ。倒産の90.7%は破産、従業員10人未満が90.6%、負債1億円未満が77.0%を占めた(東京商工リサーチ)。回答2の「1日平均29社」は、5,373件を4〜9月の183日で割った約29.4件と合う。
利上げ・物価高・人手不足も、数字がある。日銀は9月18日、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ上げた(7対2、約31年ぶりの水準・共同通信(秋田魁新報))。「物価高」倒産は436件(前年同期370件)で最多を更新、「人手不足」倒産は240件(同205件)で過去最多、うち人件費高騰が130件(同74件)。従業員の退職も67件で過去最多だった(東京商工リサーチ)。価格転嫁率は、帝国データバンクの7月調査で39.9%と、2月調査の42.1%から下がった(ネットショップ担当者フォーラム)。
回答3の「創業100年以上の企業が112社」「エンゲル係数」も、おおむね合う。112社は、帝国データバンクが9月25日に出した1〜8月の数字だ(ビジネス+IT)。エンゲル係数は、2025年が28.6%で、1981年以来44年ぶりの高水準になった(二人以上の世帯・共同通信(秋田魁新報))。回答2の「円安倒産45件(32.3%増)」は、東京商工リサーチの1〜6月の数字だ(東京商工リサーチ)。
レアアースの不足も、数字に出ている。財新(8月21日)によれば、中国から日本へのジスプロシウム・テルビウムの輸出は、2026年上半期にゼロ。日本の製造業が確保できるのは必要量の約3分の2で、不足は2027年まで続く見方がある(財新)。
違った・古かったこと
「2026年5月の実質賃金は、前年同月比2.8%減」(回答3)は、違う。厚生労働省の速報では、5月の実質賃金は1.4%増で、5か月連続のプラスだった(厚生労働省)。第一生命経済研究所は、「実質賃金は2026年入り後、プラス圏で推移している」と分析している(第一生命経済研究所)。8月分の速報の見出しは、「1.5%増、8か月連続プラス」だ(人事労務の解説サイト)。「長く下がっている」は、2025年までの印象に近い。
「疫病中のゼロゼロ融資の延命が、遅れて出ている」(回答1・2)は、いまは主因ではない。ゼロゼロ融資を使ったあとの倒産は149件で、前年同期の215件から減り、上半期としては3年連続の減少だ(東京商工リサーチ)。2023〜24年の山には当てはまるが、いまの上半期の増加は、人件費・物価・金利のほうが大きい。
「製造業が崩れている」(回答2)は、倒産の数字には出ていない。製造業の倒産は547件(3.1%減)で、2年連続で前年同期を下回った。最多は、飲食業514件を含むサービス業他の1,828件(3.7%増)で、30年間で最多だ(東京商工リサーチ)。倒産した上場企業は1社、従業員300人以上は発生しなかった。「創13年新高」も正確には、2013年の5,505件に次ぐ水準で、「13年ぶりの高水準」だ。
見落とされがちなこと
3つの回答は、「倒れた会社の数」を「日本経済の崩れ」と同じ意味で語ったが、倒産の中身は、小さく、数も1社あたりも小さい。負債総額は8,561億円で、2年連続で1兆円を下回り、1社あたりは約1.6億円だ。一方で、完全失業率は8月に2.5%(総務省)、有効求人倍率は1.18倍(厚生労働省)。「倒産が増えているのに、人が足りない」という、日本らしい組み合わせが、同じ時期に起きている。回答1・3はこの点に触れたが、回答2は触れていない。
確かめられなかったこと
回答2の数字は、ほとんど確かめられなかった。「ゾンビ企業は約25万社・17%」「利率0.25ポイントの上昇で年46万円の負担」「戦略備蓄は18か月分」「トヨタ・ホンダの在庫は3〜6か月」「信越化学・JSRが3nmのフォトレジストの新規受注を停止」「製造業の1四半期の赤字が1.23兆円」「GDPを0.8ポイント押し下げ」「約5万の中小企業が倒産を始めた」は、いずれも、探した範囲では出どころが見つからなかった。フォトレジストは、日本から中国向けの供給をめぐる噂を中国のサイトが伝えた例は見たが、日本の企業は確認していない。GDPは、4〜6月期の改定値が前期比0.4%増で、「0.8ポイントの押し下げ」とは合わない(共同通信(秋田魁新報))。
この記事の答え合わせに使った事実
| 倒産件数(2026年度上半期・4〜9月) | 5,373件(3.8%増)。2013年の5,505件に次ぐ水準 |
| 負債総額 | 8,561億6,900万円(23.5%増)。2年連続で1兆円未満 |
| 規模 | 従業員10人未満90.6%・負債1億円未満77.0%・破産90.7% |
| 「人手不足」倒産 | 240件(205件から)。うち人件費高騰130件(74件から) |
| 「物価高」倒産 | 436件(370件から)。価格転嫁率は39.9%(2026年7月) |
| ゼロゼロ融資後の倒産 | 149件(215件から)。3年連続で減少 |
| 製造業/サービス業他の倒産 | 製造業547件(3.1%減)/サービス業他1,828件(3.7%増・30年で最多) |
| 日銀の政策金利(9月18日) | 1.0%程度から1.25%程度へ。約31年ぶりの水準 |
| 実質賃金(2026年5月) | 前年同月比1.4%増。5か月連続のプラス(8月は1.5%増・8か月連続) |
| 完全失業率/有効求人倍率(8月) | 2.5%/1.18倍 |
| 65歳以上の人口の割合(9月15日) | 29.6%(過去最高) |
出典:東京商工リサーチ・共同通信・帝国データバンク(ネットショップ担当者フォーラム)・厚生労働省・総務省統計局・総務省(労働力調査)・ビジネス+IT
日本視点
この記事は、日本のニュースが、中国の人にどう読まれているかを見るものだ。中国の人は、日本の倒産の増加を、「利上げと延命のツケ」あるいは「中国の禁輸の効き目」として読み、日本経済の崩れの前触れとして置いた。質問が立った日のうちに、「利上げの悪い結果」という言葉が補足に入ったことも、その読み方を表している。
ただ、日本の人にとっては、倒産は増えているが、いま倒れているのは、小さな会社の「人」と「コスト」の問題だ。人手不足倒産は240件、人件費高騰は130件でいずれも過去最多。一方で、実質賃金はプラスで、失業率は2.5%。倒れる側にとっては賃上げが重く、働く側にとっては追い風になる。同じ数字が、立つ場所で逆に見える。製造業の倒産が減っているので、「中国の禁輸で製造業が崩れた」という読みは、倒産の数字では確かめられない。ただ、重希土類の不足は2027年まで続く見方があり、これから出る可能性は残る。
どこが当たっていて、どこがずれているか
- 当たっている:5,373件・13年ぶりの高水準、1日平均29社、利上げ(1.25%)、物価高と人手不足の倒産、小・零細が9割、100年以上の企業の倒産、重希土類の不足。
- ずれている・注意が必要:「5月の実質賃金は2.8%減」(実際は1.4%増)、「ゼロゼロ融資の延命が遅れて出ている」(その倒産は3年連続で減少)、「製造業が崩れている」(製造業の倒産は2年連続で減少)、「創13年新高」(2013年の5,505件に次ぐ水準)。
- 確かめられなかった:ゾンビ企業25万社、戦略備蓄18か月、トヨタ・ホンダの在庫3〜6か月、3nmフォトレジストの受注停止、製造業の1.23兆円の赤字。
人口が減る地域で、中小企業がどう関わっていくかを、日本政策金融公庫の研究所がまとめた1冊です。「倒産が増えている」という見出しの背景にある、人手と地域の問題を、数字で確かめたい人に向いています。
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まとめ
- 知乎で24万回読まれた質問「日本で倒産ラッシュ。上半期5,373件、13年ぶりの高水準。背景は」。賛同のいちばん多い回答(302)は「疫病中のゼロ金利の延命が、遅れて出てきた。今回の山は、歴史で見ると高くない」と書き、別の回答(162)は「1日平均29社が閉まり、中国の両用品目の禁止も効いている」と書いた
- いまの数字では、2026年度上半期の倒産は5,373件(2013年の5,505件に次ぐ)。人手不足240件・物価高436件はともに過去最多。日銀は9月に1.25%へ利上げした。一方、実質賃金は5月に1.4%増で5か月連続のプラス、失業率は2.5%
- 「5月の実質賃金は2.8%減」は違う。ゼロゼロ融資後の倒産は3年連続で減り、製造業の倒産も2年連続で減った。1.23兆円の赤字など、回答2の数字は確かめられなかった。倒産は小さな会社の人とコストの問題で、禁輸の影響はこれから出る可能性が残る
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