中国の質問サイト「知乎」に、2026年7月20日、高市内閣の支持率をめぐる質問が立った。「毎日新聞の調査で、高市内閣の支持率は10ポイント下がって41%、不支持率は44%と、支持率を上回った。どう見るか」。閲覧は204万回、回答は174件(10月16日時点)。賛同のいちばん多い回答(4,673)は、「日本人が高市氏を選んだのは、中国に強く出る首相なら、中国が折れると思ったからだ」と書いた。そのあと3か月の調査の数字で、答え合わせをした。
元投稿
質問:如何看待高市早苗内阁不支持率反超支持率?(高市早苗内閣の不支持率が、支持率を上回ったことを、どう見るか)
補足:「日本の毎日新聞が発表した結果によると、高市早苗首相の内閣の支持率は10ポイント大きく下がって41%、不支持率は44%に上がり、すでに支持率を超えた」
知乎/2026年7月20日/フォロワー272・閲覧2,038,665回・回答174件
→ https://www.zhihu.com/question/2062506379550652288
回答1「日本人は、中国に強く出る首相を選べば、中国が折れると思った」
回答者:同乐落幕
投稿日:2026年7月21日
賛同4,673・コメント108
→ 回答ページ
当初这么多日本人把她选上,相当一部分原因就是日本人认为过去的日本政府对中国太友好了,才导致中国态度越来越不好。
あれだけ多くの日本人が彼女を選んだ理由の、かなりの部分は、これまでの日本政府が中国に友好的すぎたから、中国の態度がだんだん悪くなった、と日本人が考えたことにある。
认为选她一个敢对中国亮剑,对中国表达出日本该有的态度的首相就能改变现状,让中国服软。
中国に剣を抜く勇気があり、日本が持つべき態度を中国に示す首相を選べば、現状を変えられ、中国を折れさせられると考えたのだ。
回答はこのあと、「日本人の目には、中国のレアアースですら、まず日本に送って再加工してもらうものに見えている」と続けて、日本側の自信を皮肉っている。
回答2「支持率はいまも50%近くあり、高い。不支持の人は、彼女のやり方が足りないと思っている」
回答者:子不语(プロフィールの表示「因思杜陵梦,凫雁满回塘」)
投稿日:2026年7月21日
賛同2,983・コメント34
→ 回答ページ
人家支持率还是将近百分之五十,属于非常高的支持率了
あちらの支持率は、いまも50%近くあり、とても高い支持率だ。
不支持她的那些是觉得她做的不够,不去参拜靖国神社,不修改无核三原则,修宪速度过慢
彼女を支持しない人たちは、彼女のやり方が足りないと思っている。靖国神社に参拝しない、非核三原則を改めない、憲法改正の速度が遅すぎる、という具合だ。
回答3「あの国の世論調査には意味がない。日本人は、言うことと、やることが違う」
回答者:superpanda
投稿日:2026年7月20日
賛同1,141・コメント21
→ 回答ページ
以我对日本人的了解,这些民调没意义。他们从来都是说一套做一套的
私が知っている日本人の様子からすると、こうした世論調査には意味がない。彼らは昔から、言うことと、やることが違う。
そのあと回答は、高市氏と日本人への強い悪口を書き、「大半の日本人は、内心では支持しているのに、表向きは支持しないふりをしている」と結ぶ。悪口の部分は、引用しなかった。
裏取り(いまの数字で答え合わせ)
確認できたこと
質問の数字は、事実だ。毎日新聞の7月の調査で、内閣支持率は前回から10ポイント下がって41%、不支持率は35%から44%に増え、発足後はじめて支持率を上回った。同じ時期に、朝日新聞は支持率が7ポイント下がって53%、時事通信は49%と、どちらも発足以来の最低だった(公明新聞(各社調査のまとめ))。つまり、確認できた3社のうち、「不支持が支持を超えた」のは毎日だけで、朝日と時事は支持率のほうが高かった。回答2の「いまも50%近く」は、朝日・時事の数字にほぼ合う。
下がった理由として報じられたのは、国会運営と物価高だ。強引な国会運営が支持率低下の一因になった可能性を、時事通信が指摘した。朝日の調査では、政権の政策の進め方を「丁寧ではない」とみる人が46%、物価高への首相の対応を「評価しない」人が57%(「評価する」は29%)だった(公明新聞)。
回答1の「中国に強く出る首相を選んだ」は、選挙の結果と合う。2026年2月8日の衆院選で、自民党は小選挙区249と比例67の合わせて316議席を取り、連立の日本維新の会36議席と合わせて与党は352議席になった(自民党メールマガジン(党の発表))。ただし、選挙の勝因は、物価高対策や政権の安定など、複数ある。「中国が折れると期待した」という一点で説明できる、と言い切れる資料は見つからなかった。
その後の数字(9月・10月)
7月の「41%」は、そのあと上がり、また下がった。9月17日の内閣改造のあと、毎日新聞は4ポイント上がって45%になり、3か月ぶりに支持率が不支持率を上回った。一方、時事通信は9月に4.3ポイント下がって44.1%と、4か月連続の下落だった。報道8社の9月の調査で、支持率は44.1〜62.0%に分かれた(nippon.com(報道8社の9月調査))。
10月の最新は、調査によって大きく違う。時事通信(10月9〜12日)は前の月から1.7ポイント下がって42.4%で、5か月連続の下落、これまでの最低を更新した(時事通信(Yahoo!ニュース))。一方、NHK(10月13日の発表)は、支持が2ポイント下がって51%、不支持は1ポイント上がって32%だった(NHK)。同じ週に、9ポイントの差がある。
10月に、閣僚の辞任もあった。簗和生農林水産大臣が、10月14日に辞任した。高市首相は会見で、「これ以上、国会審議に迷惑をかけられない」という本人の理由を紹介し、辞表を受け取った(首相官邸(10月14日の会見))。北海道新聞は社説で、首相の判断は「あまりに遅い」と批判した(北海道新聞の社説)。時事通信は、この問題への首相の対応が、10月の支持率の下落に影響したとみている(時事通信)。
違った・古かったこと
「いまも50%近く」(回答2)は、調査によって違う。7月の時点では、朝日の53%と時事の49%にほぼ合ったが、毎日は41%だった。10月は、NHKの51%に合う一方、時事の42.4%には合わない。「日本の支持率」を1つの数字で言うことは、もうできなくなっている。
「不支持の人は、彼女のやり方が足りないと思っている」(回答2)は、確認できた調査の質問とは、別の論点が目立つ。7月と9月の調査で報じられたのは、国会運営、物価高、政治資金収支報告書に不記載のあった議員の起用(時事で「反対」68.6%、産経で大臣起用に「反対」71.6%、共同で「適切ではない」66.6%)だった(nippon.com)。靖国神社や憲法改正への不満が、不支持の主な理由だったかどうかを、理由別に聞いた調査は、見つからなかった。
確かめられなかったこと
回答3の「日本人は、内心では支持しているのに、表向きは支持しないふりをする」は、世論調査の数字だけでは確かめようがない。ただ、2月の衆院選では、自民党が単独で316議席と、世論調査の高い支持率を超える大勝をした(自民党メールマガジン)。「調査が当てにならない」のではなく、選挙と調査で、聞かれ方が違うと考えるほうが自然だ。回答1の「中国のレアアースは、まず日本に送って再加工する」は、裏づける数字や資料を見つけられなかった。
この記事の答え合わせに使った数字(高市内閣の支持率)
| 毎日新聞(7月) | 支持41%(−10)・不支持44%。発足後はじめて逆転 |
| 朝日新聞(7月) | 支持53%(−7) |
| 時事通信(7月) | 支持49%。当時の最低 |
| 毎日新聞(9月・内閣改造後) | 支持45%(+4)。3か月ぶりに支持が不支持を上回る |
| 時事通信(9月) | 支持44.1%(−4.3)。4か月連続の下落 |
| 報道8社(9月) | 支持率は44.1〜62.0%に分布 |
| 時事通信(10月9〜12日) | 支持42.4%(−1.7)、不支持29.7%。5か月連続の下落・最低を更新 |
| NHK(10月13日発表) | 支持51%(−2)、不支持32%(+1) |
出典:公明新聞・nippon.com・時事通信・NHK
日本視点
この記事は、日本のニュースが、中国の人にどう読まれているかを見るものだ。中国の人の多くは、「支持率の下落」を、日本の人が中国との関係で期待を外した結果、あるいは世論調査そのものを疑う材料として読んだ。回答1・3は、そう読んでいる。
ただ、日本の数字は、もっと散らばっている。7月の「不支持が上回った」は確認できた3社では毎日の調査だけで、9月には同じ毎日が、支持率の45%で逆転を戻している。報道8社の9月の支持率は44.1〜62.0%、10月13日前後の2社は42.4%と51%だった。「半年で支持率が崩れた」とも、「高い支持率が続いている」とも、言い切れる数字ではない。確かなのは、時事通信の調査が5か月連続で下がり続けていることと、10月に閣僚が辞任したことだ。回答が見た「中国との関係」より、国会運営・物価高・不記載議員の起用といった国内の話が、調査の質問では目立つ。
どこが当たっていて、どこがずれているか
- 当たっている:7月の毎日の41%と44%、朝日の53%、時事の49%、2月の衆院選での自民の大勝。
- ずれている・注意が必要:「いまも50%近く」(調査により42〜51%)、「不支持の理由は、やり方が足りないから」(確認できた質問は国会運営・物価高・不記載議員の起用)、「世論調査には意味がない」(選挙の結果とは、聞かれ方が違う)。
- 確かめられなかった:「中国が折れると期待して選んだ」という理由づけ、「中国のレアアースを日本で再加工する」、「内心では支持している」。
世論調査の数字は、どこまで信じてよいのか。調査の方法による数字の差や、見るときの注意点を、調査会社の側から説明した1冊です。ニュースの「支持率」の読み方を、基本から知りたい人に向いています。
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まとめ
- 知乎で204万回読まれた質問「高市内閣の不支持率が、支持率を上回った。どう見るか」。賛同のいちばん多い回答(4,673)は「日本人は、中国に強く出る首相を選べば、中国が折れると思った」と書き、2番目(2,983)は「支持率はまだ50%近くあり、不支持の人はやり方が足りないと思っている」と見た
- いまの数字では、7月に不支持が支持を上回ったのは毎日新聞だけ(41%と44%)。9月には毎日が45%で戻し、10月は時事通信が42.4%(5か月連続の下落)、NHKが51%と分かれた。報道8社の9月の支持率は44.1〜62.0%。10月14日には農林水産大臣が辞任した
- 「いまも50%近く」は調査により違い、「不支持の理由は、やり方が足りないから」は、確認できた質問では別の論点(国会運営・物価高・不記載議員の起用)が目立った。「中国が折れると期待して選んだ」「レアアースを日本で再加工する」は確かめられなかった
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