中国人「日本の食事は、なぜ一食の量がこんなに少ないのか」(日本の学校給食は少なすぎる、という声)

中国の質問サイト「知乎」に、2025年10月7日、日本の食事の量をめぐる質問が立った。「日本の食事は、なぜ一食の量がこんなに少ないのか」。閲覧は890.3万回、回答は431件(10月17日時点)。賛同のいちばん多い回答(8,986)は、日本人のXの投稿に付いた返信を紹介し、「返信の多くが、中国の学校の給食の量を大きいと言い、日本の学校の給食は少なすぎる、と愚痴っていた」と書いた。そのあと、日本と中国の公的な資料で、「量が少ない」という言い分を答え合わせした。

元投稿

質問:日本饮食为什么一餐的量那么少?(日本の食事は、なぜ一食の量がこんなに少ないのか)
補足:「日本饮食结构,你们喜欢吗」(日本の食事の構成を、あなたたちは好きか)
知乎/2025年10月7日/フォロワー915・閲覧8,903,291回・回答431件
→ https://www.zhihu.com/question/1958903176347490012

回答1「日本人のXの返信は、日本の給食は少なすぎる、とばかり言っていた」

回答者:柳絮开(プロフィールの表示「デザイン」)
投稿日:2025年11月10日
賛同8,986・コメント2,428
→ 回答ページ

x上有一个日本人评价中国中学生校服的帖子,视频上是中国的某个中学中午排队打饭,本来贴主是在吐槽中国的校服太丑,结果下面的回复大多数都在评论中国学生的饭量……

Xに、日本人が中国の中学生の制服を評した投稿があった。動画は、中国のある中学校で、昼に並んで食事をもらう場面。投稿者は、中国の制服がダサいと言いたかったのに、下の返信の大半は、中国の学生の食事の量について語っていた……。

这量其实也就正常水平,结果大多数回复都在说中国学校给的饭量真大,吐槽日本学校给的午餐太少,至于这些回复是不是中国人反串咱就不知道了。

この量は、実際には普通の水準なのに、返信の大半は、中国の学校が出す量は本当に大きいと言い、日本の学校が出す昼食は少なすぎると愚痴っていた。その返信が、中国人のなりすましかどうかは、わからないが。

回答2「中国人の兄弟は、居酒屋で串30本を頼んで、そのあとラーメンに行った」

回答者:姚小厨(プロフィールの表示「蜜汁ハムと、べたつく焦げ」)
投稿日:2026年1月16日
賛同5,874・コメント378
→ 回答ページ

他200斤,我180,我俩人在居酒屋,一开始点了30个串,

(弟は日本の福岡に留学していた)弟は100キロ、私は90キロ。2人で居酒屋に入り、最初に串を30本頼んだ。(中国の「斤」は、500g)

旁边的日本大爷笑了,连连摆手,说,中国人,你们吃不了的,

隣の日本のおじさんは笑って、手を振りながら、中国人さん、食べきれないよ、と言った。

“没有,我们只是要去再去吃一碗拉面”

(立ち上がるとき、おじさんに「このあと外で吐くのか」と聞かれて、弟は)「いや、これからラーメンをもう1杯食べに行くだけだ」。

回答3「あなたの思う日本人の普通の量と、日本の会社員の本当の普通の量」

回答者:小豌豆(プロフィールの表示「人は毎日、見栄を張っているか、見栄を張る準備をしている」)
投稿日:2026年1月20日
賛同3,237・コメント549
→ 回答ページ

你以为的日本人的日常饭量:

あなたが思う、日本人の日常の食事の量:(小さな器が並ぶ、懐石料理のような盆の写真)

实际一个日本社畜的正常饭量:

実際の、日本の会社員(「社畜」は、会社に飼い慣らされた人の自嘲)の普通の量:(カツ丼と、牛肉とごぼう天のうどんの、セットの写真)

对了,第一个的价格一般是大概是第二张图的2,3倍

ちなみに、1枚目の値段は、だいたい2枚目の2、3倍だ。

回答4「日本でバイトした友人は、1年で10キロやせた。腹が満ちないからだ」

回答者:老鹰抓小鸡(プロフィールの表示「景色を見るのが好き」)
投稿日:2025年10月10日
賛同1,362・コメント61
→ 回答ページ

有一个朋友在日本打工,去了一年瘦了20斤。我问她怎么瘦的,她说就是饿的,没啥吃的,量少又贵 ,而且味道也不咋样,每天吃饭基本都是个水饱,时间长了好像胃口也小了,吃几口也吃不下了。

日本でアルバイトをしている友人は、1年で20斤(10キロ)やせた。どうやってやせたのか聞くと、飢えたからだ、食べるものがなく、量は少なく、値段は高く、味もたいしたことがない、毎日の食事は、ほとんど水で腹をふくらませているだけで、長くなると胃が小さくなったのか、数口で食べられなくなった、と言った。

回答5「『らんま1/2』の主人公は、日本の学校の昼食が足りなかった」

回答者:吴猫
投稿日:2025年11月17日
賛同1,196・コメント23
→ 回答ページ

以前看乱马1/2,男主乱马小时候生活在中国,到日本上学后,午饭不够吃

前に『らんま1/2』を見たら、主人公のらんまは、子どものころ中国で暮らしていて、日本の学校に通うようになってから、昼ご飯が足りなかった。(回答は、作者が、当時日本に移った中国の子どもの実話を参考にした、と言うが、出典は示していない)

裏取り(日本と中国の公的な資料で答え合わせ)

確認できたこと

日本の学校給食は、「1日の必要量の3分の1」を基準にしている。文部科学省の学校給食摂取基準(令和3年2月12日告示、4月1日施行)は、児童生徒の標準体重と身体活動レベル「ふつう」から求めた1日の必要量の3分の1を、1食のエネルギーの基準にした。その値は、6〜7歳が530kcal、8〜9歳が650kcal、10〜11歳が780kcal、12〜14歳が830kcal。全国の平均値で、現場では弾力的に運用する、と書かれている(文部科学省の通知・別表)。

中国の基準も、ほぼ同じ水準だ。貴州省の農村の義務教育の学校が、国の「学生餐栄養指南(WS/T 554—2017)」などをもとに作った給食の食譜は、昼食を1日の35〜40%と定め、貴州では40%にした。1日の基準の2,100kcal(中学生・女子)なら、昼食は840kcal、小学高学年(9〜11歳)の1,900kcalなら760kcal、小学低学年(6〜8歳)の1,550kcalなら620kcal。日本の830・780・530kcalと並べると、数字だけでは、日本の給食が大きく少ないとは言えない(貴州省衛生健康委員会の食譜資料)。

日本の大人の1日のエネルギー摂取量は、約1,900kcalだ。令和6年の国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、1人1日のエネルギー摂取量は、20歳以上で平均1,874kcal(男性2,090、女性1,689)、7〜14歳で1,913kcal(厚生労働省)。

違った・古かったこと

回答1の「日本の給食は少なすぎる」は、基準の数字では、裏づけられない。日本の中学生の830kcalは、中国の貴州の840kcalとほぼ同じで、小学高学年は780対760kcalで日本のほうがむしろ多い。小学低学年は、日本が530kcal、貴州が620kcalで、ここだけは中国が多い。返信が語る「量の差」は、基準の差ではなく、盛りつけの印象、おかずの構成、おかわりの有無など、別のところにある可能性が高い(その中身は、ここでは確かめていない)。

確かめられなかったこと

回答1のXのスレッド(返信の中身と、中国人のなりすましの有無)は、確かめていない。回答2・3の「串30本」「社畜の正常な量」は、本人の体験と写真で、ほかの資料はない。回答4の「1年で20斤やせた」も、1人の体験談で、確かめようがない。回答5の「らんまの作者が実話を参考にした」は、出典が示されていない。日本の大人の外食の量と、中国の外食の量の比較、中国の大人の1日のエネルギー摂取量は、ここでは確かめていない。

日本側のデータ

この記事の答え合わせに使った数字(学校給食の基準と1日の摂取量)

学校給食摂取基準(日本・1食・6〜7歳)530kcal
学校給食摂取基準(日本・1食・8〜9歳)650kcal
学校給食摂取基準(日本・1食・10〜11歳)780kcal
学校給食摂取基準(日本・1食・12〜14歳)830kcal(1日の必要量の3分の1)
貴州省の農村給食の食譜(昼食=1日の40%・小学低学年1,550kcal)約620kcal
貴州省の農村給食の食譜(昼食=1日の40%・小学高学年1,900kcal)約760kcal
貴州省の農村給食の食譜(昼食=1日の40%・中学生女子2,100kcal)約840kcal
エネルギー摂取量(日本・20歳以上・1人1日・令和6年)平均1,874kcal(男性2,090・女性1,689)

出典:文部科学省(学校給食摂取基準・令和3年)・貴州省衛生健康委員会・厚生労働省(令和6年国民健康・栄養調査)

日本視点

この記事は、日本のニュースが、中国の人にどう読まれているかを見るものだ。中国の人の多くは、日本の食事の「量の少なさ」を、体験談と笑い話で語り合い、それが日本の学校の給食にまで広がった。回答1の返信、回答2の串30本、回答4の「水で腹を満たす」は、どれも、自分の目で見た量の印象だ。

日本側の数字では、給食のエネルギーは、1日の必要量の3分の1で決められていて、中学生で830kcal。中国の貴州の農村の食譜(840kcal)とほぼ同じ。日本の大人は、1日で平均1,874kcal。つまり、給食の基準の上では、日本が中国より極端に少ないとは言えない。大人の食事は、中国側の統計と並べられていないので、ここでは言えない。「量が少ない」という感覚は、数字よりも、盛りつけ、おかずの数、外食の値段との釣り合いといった、見た目や価格のほうで生まれている可能性がある。ただし、この点は、ここでは確かめていない。

どこが当たっていて、どこがずれているか

  • 当たっている:日本の給食が、1日の必要量の3分の1を基準にしていること(回答1の話の前提)、日本の大人の1日の摂取量が約1,900kcalであること(中国の大人との比較は、確かめていない)。
  • ずれている:「日本の給食は少なすぎる」(回答1)は、基準の数字では、中国の貴州の例と、ほぼ同じ。小学低学年だけ、中国のほうが多い。
  • 確かめられなかった:Xの返信の中身、外食の量の差、体験談(串30本、1年で20斤やせた)、らんまの作者の話。
関連書籍

日本の給食は、どんな歴史と考え方でできているのか。給食の栄養、献立、食育の意味を、日本人の食生活の土台として読み解く1冊です。今回のように、「量が少ない」という印象の裏にある仕組みを知りたい人に向いています。

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まとめ

  • 知乎で890.3万回読まれた質問「日本の食事は、なぜ一食の量がこんなに少ないのか」。賛同のいちばん多い回答(8,986)は、日本人のXの返信が、中国の学校の給食の量を大きいと言い、日本の給食は少なすぎる、と愚痴っていたと紹介した
  • 日本の給食の基準は、1日の必要量の3分の1で、中学生なら830kcal。中国の貴州の農村給食の食譜(昼食を1日の40%)は、中学生女子で840kcalと、ほぼ同じ。日本の大人の1日の摂取量は、20歳以上で平均1,874kcal
  • Xのスレッドの中身、外食の量の差、体験談(串30本・1年で20斤やせた)、らんまの作者の話は確かめられなかった。「日本の給食は少なすぎる」という言い分は、基準の数字では裏づけられない

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