中国人「日本の留学生の食事は、学食、牛丼、自炊だ。広東人は青菜がなくて死にそうになり、食べてばかりなのに10kg痩せた」

中国の質問サイト「知乎」に、2019年3月から答えが集まり続けている質問がある。「日本に留学している学生の、毎日の食事はどんなものか」。閲覧は222万回、回答は232件。上位の回答はどれも、食事の写真を何十枚も並べた「食日記」だった。

留学生の生活費の総額、食費の動き、牛めしの値段、コンビニの牛乳の値段などを、政府の留学生向けサイトや調査、報道で答え合わせした。回答は2019年と2023年のもので、いまの値段とは違う。

元投稿

質問:在日本的留学生日常饮食是什么样子的?(日本にいる留学生の、毎日の食事はどんなものか)
知乎/2019年3月22日/フォロワー2,145・閲覧2,217,334回・回答232件
→ https://www.zhihu.com/question/316975419

回答1「北海道大学の留学生。食事の写真を全部撮っている。学食は1食およそ600円だ」

回答者:大明白(ラベル「不爱学习的学生」)
投稿日:2023年3月29日(その後、5月に何度も追記)
賛同1,875・コメント420
→ 回答ページ

(多图预警)我在北海道大学留学,正巧我有给每一餐拍照的习惯,我就发到这里了,希望有所帮助。

北海道大学に留学している。たまたま毎食、写真を撮る習慣があるので、ここに載せる、と書き出す。学食は1食およそ600円強(人民元で「三十ほど」)。ときどき大学の近くの定食屋に行き、そこは300〜500円ほど高い。大学のコンビニでは弁当や丼、サラダを買い、値段は学食と同じくらい。ラーメンにご飯の「炭水化物の爆弾」の日もあれば、大学の近くのインド料理(1,500円ほど)、マクドナルド(「中国より少しだけ安い」)の日もある。

回答1に添えられた学食の写真。ご飯とみそ汁、魚、ポテト、とんかつ、サラダなどの定食4枚
回答1に添えられた、北海道大学の学食の写真4枚。知乎の回答から引用(出典:回答1)。

追記で、札幌の焼肉店(「1,900円」)、ジンギスカン、豚丼、スープカレー、回転寿司、二郎系ラーメン(「普通のラーメン2.5杯分」)、薄野の焼肉食べ放題(2時間で2,900円)、中国人の微信グループで頼むと出てくる中華料理店の定食(900円)などの写真が続く。最後に「なぜか半年あまりで、体重が20斤以上(10kg以上)減った」と書き添える。

回答2「京都大学の留学生。日本の外食は高いので、学食か安い店か、自炊だ」

回答者:知乎ユーザー(匿名)
投稿日:2023年5月23日
賛同643・コメント136
→ 回答ページ

由于日本餐饮比较贵,为了省钱,大部分时候是在学校食堂或者便宜的连锁店吃,或者在家自己做饭。

学校附近的肯德基,和国内同样价格,份量是国内的一半,简直坑爹,再也不想在日本吃肯德基了

京都大学に留学している。日本の外食は高いので、お金を節約するために、ほとんどは大学の学食か安いチェーン店、あるいは自炊にしている。学食は、ご飯の中盛りで150円+、「中国の学食に比べるとやはり高い」。外のチェーン店よりは少し安いが、中国の学食ほど安くはなく、1日に出る単品のおかずも4、5種類しかないと書く。近くの店は、松屋、すき家、餃子の王将、サイゼリヤ。KFCは「中国と同じ値段で、量は半分」で、「二度と食べたくない」。居酒屋は高いので、教授のおごりのときだけ行く。

回答3「早稲田の1年生。広東人は、青菜がなくて死にそうだった」

回答者:从前有个阿怡(ラベル「细胞民工」)
投稿日:2019年6月11日
賛同976・コメント176
→ 回答ページ

作为一个广东人,没有青菜吃我要死了!!于是有了↑,自己炒的菠菜+腊肠炒饭,味道还可以(主要是腊肠好吃)

2018年4月生まれ、大学1年生(当時)。広東人として、青菜がない生活で死にそうだったので、ほうれん草と中国ソーセージのチャーハンを自分で作った、と書く。日本に着いた最初の日は、秋葉原のラーメン。2日目からは、「留学生の友」の松屋、サイゼリヤ、富士そばが毎日の昼ごはんになり、早稲田の学食は「安いのは本当に安い」。海底撈(ハイディラオ)の火鍋は、1人あたり3,500円ほど。高田馬場の中華食堂は、安くて、卵スープに酢を入れると「中国の味」になった。お正月は、帰国しなかった同級生と一軒家を借りて、餃子を包んだ、という。

裏取り

確認できたこと

留学生の生活費は、回答の「安く済ませる」感覚と合う。政府の留学生向けサイト「Study in Japan」によると、外国人留学生の1か月の生活費(学習研究費を除く)の全国平均は105,000円(令和5年度私費外国人留学生生活実態調査・JASSO)。このうち住居費は全国平均で41,000円、東京は57,000円だ(Study in Japan)。

外国人留学生の1か月の生活費。全国平均の総額10万5,000円、住居費は全国平均4万1,000円、東京5万7,000円の棒グラフ
外国人留学生の1か月の生活費(円)。出典:JASSO「令和5年度私費外国人留学生生活実態調査」(Study in Japanの掲載)。食費の内訳は、掲載ページでは確かめられなかった。

回答2の「松屋の丼は安い」は、いまも成り立つが、昔ほどではない。松屋の牛めし(並盛)は、2025年4月22日に430円から460円に上がり、2026年10月6日の時点で460円のままだ(pricey.jp)。回答2が挙げる「安いチェーン店」は、いまも学生の味方だが、数年前より値段は高い。

食費の負担は、日本の大学生にも重くなっている。全国大学生協連の「第61回学生生活実態調査」(2026年2月24日公表)は、自宅生・下宿生ともに、物価高で食費が増えた一方、交通費や娯楽費、書籍費は抑えられたと報告している。下宿生の1か月の収入は138,070円で、10年で最高だった(全国大学生協連の調査概要)。

違った・古かったこと

回答の値段は、2018〜2023年のもので、いまとは違う。回答1の学食「600円強」、回答3の海底撈「1人3,500円」は、当時の値段だ。いまの学食や外食の値段は、今回、大学ごとには確かめていない。たとえば回答1は「牛乳1Lが10元(約236円)ほど」と書くが、政府統計(小売物価統計調査・2025年12月)の全国平均は牛乳1,000mlが267円、ハンバーガーが248円だ(Study in Japan)。北海道が全国平均より安いかどうかは、今回、確かめられなかった。

見落とされがちなこと

3つの回答はどれも、写真と値段で「何を食べたか」を書き、「なぜ、そこで食べるのか」には触れていない。理由は、回答2が一言で書いている。「日本の外食は高いので、節約するために、学食か安い店か自炊だ」。回答3の広東人の青菜、回答1の中国人の微信グループで頼む中華の定食は、日本の外食の選択肢が、母国の味に比べて狭いことの裏返しでもある。日本の人には「日本は食べ物の種類が多い」という自負があるが、留学生の暮らしの中では、その種類が値段の壁で狭まる。

確かめられなかったこと

回答1の「半年あまりで体重が10kg以上減った」は、個人の体験で、原因は確かめられない。回答2の「KFCは中国と同じ値段で、量は半分」と、回答1の「マクドナルドはKFCよりずっとおいしい」も、感想だ。回答1の「札幌の回転寿司は、並んでも安くておいしい」、「中国人の微信グループで頼む中華の定食900円」の現在の値段は、確かめていない。

日本側のデータ

この質問の答え合わせに使った事実

留学生の1か月の生活費(令和5年度)総額 105,000円(全国平均)/うち住居費 41,000円(全国)・57,000円(東京)
日本の大学生(第61回学生生活実態調査)物価高で食費が増加/下宿生の収入は138,070円(10年で最高)
松屋 牛めし(並盛)2025年4月22日に430円→460円/2026年10月6日時点も460円
小売物価(2025年12月・全国平均)牛乳1,000ml 267円/ハンバーガー 248円/米5kg 4,979円

出典:Study in Japan・全国大学生協連・pricey.jp

日本視点

この質問は、日本の人が読むと、ひとつの視点を教えてくれる。留学生の食日記を見ると、日本の食は「安くておいしいもの」から「高いので、選べるものが少ない」に変わりつつある。回答1の写真には、定食、丼、サラダ、インド料理、ラーメンが並び、学食1食「600円強」という数字が、ひとつの目安になっている。日本の学生にも、2025年度の調査で食費が増えたという同じ負担が出ている。

そして、日本の人にとって耳が痛いのは、「外食が高い」と言う留学生を、日本の側が「日本は食が豊か」で包み込んでしまいがちなことだ。料理の種類の多さと、毎日それを選べる財布は、別の話だ。

どこが当たっていて、どこがずれているか

  • 当たっている:留学生は節約のため、学食、安いチェーン、自炊を組み合わせる(月の生活費の全国平均は105,000円)。松屋は、いまも460円で、安い選択肢の一つ。
  • 変わった:食費は日本の大学生にとっても重くなっている(2025年度調査)。松屋の牛めしは430円から460円へ。
  • 確かめられなかった:北海道の牛乳が安いか、各店の現在の値段、体重の変化。
関連書籍

日本のコンビニやチェーンの食べ物が、どう工夫され、変わってきたかを読める本です。留学生が毎日通う棚と店の事情を、日本側から知りたい人に向いています。

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まとめ

  • 知乎で222万回読まれた「日本の留学生の毎日の食事」。上位の回答は、北海道大学・京都大学・早稲田大学の留学生が、学食・牛丼・サイゼリヤ・自炊の写真と値段を並べた食日記だった
  • 裏取りでは、留学生の1か月の生活費が全国平均105,000円、松屋の牛めしが2026年10月時点で460円、日本の大学生も物価高で食費が増えていることを確認
  • 回答の学食「600円強」や海底撈の値段は2018〜2023年のもので、いまの値段は確かめていない。体重の変化や各店の感想も確かめられなかった

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